気をつけることはチョット違う 男性の健康、女性の健康

男性も女性も健康を管理する方法はだいたい同じです。
けれど、男性と女性ではそもそもの体の仕組みが違うため、それぞれに気をつけなければならないポイントを整理しておきましょう。

for MEN 生活習慣チェックリスト

□ 甘いもの、脂っこいものが好き
□ 野菜をあまり食べない
□ 外食が多い
□ アルコールをよく飲む
□ たばこを吸う
□ 運動をほとんどしていない
□ イライラすることが多い
□ 休みがあまりとれていない
チェックがたくさんついた人は、毎日の生活を見直しましょう。

for WOMEN 生活習慣チェックリスト

□ 野菜をあまり食べない
□ スイーツが大好き
□ 薄着でいることが多い
□ きつめの下着や洋服を着ることが多い
□ 短期間でのダイエットをしたことがある
□ お風呂につからずシャワーで済ますことが多い
□ ストレスが多いと感じる
□ 運動をほとんどしていない
チェックがたくさんついた人は、毎日の生活を見直しましょう。

男性と女性体の仕組みの違い

 男性と女性の見た目を平均すると、男性の方が体が大きくて筋肉があり、体が丈夫に見えます。女性はやわらかくやさしい印象で、男性に比べると力も弱い感じに思えます。
 実際に、男性と女性の身長と体重(35~39歳)の平均を比較すると、かなりの差があることが分かります。

◆男性 身長171.89cm 体重69.34kg
◆女性 身長158.87cm 体重51.37kg

(文部科学省 平成24年度体力・運動能力調査)


 このように見た目とその印象が違うのは、そもそも男性と女性の体の仕組みが違うことが大きく関係しています。まず、基礎代謝量の平均(30~49歳)、体脂肪率の標準を比べてみましょう。

◆基礎代謝量
 男性 1520kcal/日
 女性 1140kcal/日
◆体脂肪率
 男性 15~19%
 女性 25%前後

(厚生労働省ホームページより)


 基礎代謝量とは、人が生きていくうえで最低限必要なエネルギー消費量のことです。基礎代謝量が高ければ、エネルギーを消費する力が高く、脂肪を燃焼しやすいといわれています。基礎代謝量は体重や筋肉量が多い方が高いため、男性の方が高くなるのです。
 そして、男性には男性ホルモンが多く、女性には女性ホルモンが多く分泌されます。男性ホルモンは筋肉質な体を作ったり体毛の発育を促したりし、女性ホルモンは生理や妊娠にかかわり、女性らしい丸みのある体を作ります。
 これらに加えて、男性と女性ではライフスタイルにも差があります。とくに、女性には生理が毎月あったり出産を経験したりするため、女性ならではのライフスタイルが確立されます。また、育児や家事に加え、社会で働くことも増え、睡眠時間が少ない人が多いともいわれています。
 このように男性と女性には、さまざまな違いがあるわけですから、健康を維持する方法にも違いがあるといえるでしょう。そこで、次から男性と女性、それぞれが健康を維持するにあたって、とくに注意するべきポイントを紹介していきます。

for MEN 生活習慣に気をつけよう

 アルコールの摂取や喫煙、外食などが多くなりがちな男性が気をつけたいことが生活習慣病です。生活習慣病には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病などが挙げられます。カロリーの高い食事、塩分や脂質、アルコールなどのとり過ぎ、さらに運動不足やストレスなどが、これらの生活習慣病を引き起こします。
 そこで、食事、アルコール、運動、ストレス、睡眠の項目に分け、どのような対策を心掛ければ良いかを考えていきましょう。

◆食事 揚げ物好きや早食い、食事が不規則な人、毎日飲酒をする人などは要注意。肥満や内臓脂肪を増やす原因になっているかもしれません。食生活が気になる人は、次のようにシンプルに実行できることから改善を始めましょう。
●お腹いっぱい食べる人……できれば腹7分目、無理なら8分目の量に。
●早食いの人……よく噛んで食べる。具材を小さめにして少しずつ食べる。
●夕飯の時間が遅い人……寝る前3時間の食事や飲酒は避ける。
●間食が多い人……間食の時間や量を決めておく。

◆アルコール 体内に吸収されたアルコールは肝臓に運ばれて無害化されます。アルコールを飲めば飲むほど肝臓はせっせと働くため、たまには肝臓を休ませてあげることも必要で
す。1週間のうちに2日程度の休肝日を設けましょう。また、アルコールは一気に飲まず、食事などと一緒にゆっくり楽しむことがおすすめです。
〈1日の飲酒量の目安〉
●ビール……中ビン1本(500ml)
●缶チューハイ……1.5缶(520ml)
●日本酒……1合(180ml)


◆運動 毎日ウォーキングやジョギングを続けることが理想ですが、なかなかそうもいきません。そこで、電車に乗ったときに目的地の駅の1駅手前で下車して歩いてみませんか。
東京都内の地下鉄であれば、1駅10~15分程度で歩けるところが多くあります。毎日実行するのが難しければ、できる日からチャレンジしてみましょう。

◆ストレス ストレスを受けると体調を崩したり、気持ちが不安定になったりします。気持ちが落ち込む、食欲がない、眠れない、疲れやすいなどといった体調の変化があったときには、早めに日常生活でリラックスした時間をもちましょう。また、ストレス解消にタバコを吸う人は要注意。タバコを1本吸うと、ビタミンCが25mgも消費されてしまうのです。これは、1日のビタミンC推奨量の1/4もの量です。そもそもビタミンCは抗ストレス作用もある栄養素。ストレス解消のつもりが、逆にストレスを助長することになっているかもしれません。

◆睡眠 体が疲れ過ぎていたり、不安や心配事があったりすると、質の良い睡眠を得ることが難しくなります。質の良い睡眠を得るためには、散歩やジョギングなどの運動をしたり、ゆっくりお風呂に入ったりすることがおすすめです。また、電気の光は体内時計を遅らせる力があるため、寝る前にテレビやスマートフォンなどを見ることは控えましょう。部屋の明かりを赤っぽい暖色系にすることも効果的です。

「塩分」とり過ぎていませんか? 1日の塩分摂取目標値

(出所:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2010」)

食事に含まれる塩分

for WOMEN 自分の体と上手につき合おう

 女性が気をつけなければならないことが、やはり女性特有の体の変化です。
 まず、20~40代で気になるのが生理不順。28日前後の周期が理想ですが、極端に短かったり長かったりするのは、不調のサインかもしれません。
ストレスや生活習慣の変化などによって周期が乱れることもありますが、卵巣や子宮がトラブルを抱えてしまっている場合もあるため注意が必要です。
 そして、閉経を迎えるころには、めまいやほてりといった症状が起こる更年期障害を経験する人もいます。女性ホルモンの分泌が減少していくことが原因だといわれています。
 そのほか、便秘や骨粗しょう症なども気をつけたい症状です。女性が便秘になりやすい理由は、生理前に多く分泌される黄体ホルモンの関係で腸の動きが弱くなることや男性に比べて筋力が弱いことなどが挙げられます。骨粗しょう症も女性ホルモンの減少によって、骨を作る細胞の活動が衰え、骨密度が低くなることが原因のひとつとされています。
 こういったトラブルをなるべく起こさないように、あるいは軽くするためには、男性の項で挙げた食生活や生活習慣を整えることは同じように大切です。そのほか、女性が気をつけたいポイントが次の通りです。

◆生理周期と体の変化 生理周期と体の変化をしっかり把握して体のリズムが分かれば、自分の体と上手につき合うことができるようになります。たとえば生理前なら、ダイエットは避ける、心も体も不安定気味なので無理をしない。便秘になりがちな人は食物繊維を積極的にとったり、運動をしたりといった生活を心掛けましょう。

◆食事 いつまでも女性らしく元気な体を維持するためには、カルシウムや鉄分、ビタミンCなどの栄養素を日ごろから意識してとることがおすすめです。  女性の体は不思議なことが多くデリケートな存在。その体を自分自身で大切に扱い、上手にコントロールすることが女性らしく元気であり続けるためのポイントです。

女性にオススメの栄養素 1日の摂取推奨量(成人) ●「カルシウム」…650mg

カルシウムを多く含む食材と含有量の目安(100gあたり)
・ 牛乳 110mg
・ 木綿豆腐 120mg
・ 納豆 90mg

●「鉄」…10.5mg(月経がある成人女性)

鉄分を多く含む食材と含有量の目安(100gあたり)
・ 豚肉レバー 13mg
・ パセリ 7.5mg
・ 煮干し 18mg

●「ビタミンC」…100mg

葉酸を多く含む食材と含有量の目安(100gあたり)
・ キウイ 69mg
・ じゃがいも 21mg
・ ピーマン 76mg

(出所:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2010」)