トータルケアを考えよう!美と健康の相乗効果

体の中が健康でなければ、本当の美人は作られません。
外見を美しく保てなければ、それも健康とはいえません。
相互に働きかける健康と美、両方を手に入れるための生活習慣を身につけましょう

CHECK もしかして体が不美人?

□ 一生懸命スキンケアしても肌荒れが気になる
□ 便秘
□ しっかり眠れた気がしない
□ 偏食気味
□ 1日3食きちんと食べていない
□ 運動をしていない
□ 体が冷え気味
□ いつも体がだるい
□ ストレスが多い
□ 風呂はシャワーだけ

チェックがたくさんついた人は、美人となる基礎ができていないのかもしれません。いますぐ生活習慣を見直しましょう。

STUDY 便秘や冷えを自覚している人の割合(女性)

(平成22年国民生活基礎調査 厚生労働省)

便秘については20~50代では約4割、60代になると約6割もの人が自覚しています。冷えも3~5割もの人が自覚しています。実は、便秘や冷えは健康だけでなく、美にも大きく影響する症状なのです。

相乗効果を発揮する健康と美

 高い化粧品を買って、スキンケアやメイクをしても肌は荒れ気味で、なかなか美に近づけない……。こんなふうに感じている人は、もしかしたら体そのものが健康ではないのかもしれません。メイクやヘアスタイル、服装などでどんなにきれいに見せても、体の内側が健康で美しくなければ、本当の美は手に入れられないのです。
 もちろん、その逆も同じ。おしゃれを楽しめなかったり、エチケットに気が回らなかったりといった生活を続けている場合も、生活習慣や心が乱れ、体の健康そのものが阻害されているかもしれません。
 つまり、健康と美は切り離して考えるものではなく、両方をバランス良く実現することが大切なのです。そうすることで、さらに健康に、さらに美しく、相乗効果も発揮することができるでしょう。
 その相乗効果を発揮するポイントとして挙げられるのが、腸内環境を整えることと冷えない体作りをめざすことです。

悪玉菌と便秘と肌荒れの関係

 便秘になると肌が荒れる──。この便秘と肌の関係を考えても分かるとおり、腸内の環境は健康にも美にも大きな影響を与えます。
 そもそも腸内の壁には、さまざまな菌が種類ごとに集まっています。これが、最近話題となっている腸内フローラです。腸内フローラの状態が、健康や美を左右しています。
 そして腸内には、大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つの菌が存在しています。日和見菌は、善玉菌にも悪玉菌にもなりうる菌で、これら3つの菌が2対1対7のバランスで存在することがベストだといわれています。
 善玉菌の代表は、よく聞かれるビフィズス菌や乳酸菌。腸内でビタミンを作り出したり、免疫力を高めたりと、健康に重要な働きをします。
 悪玉菌は、腸に腐敗物を溜め込んで、有害物質まで作り出します。生活習慣や食習慣が乱れていたり、過度なストレスを抱えていたりすると悪玉菌が優勢になり始めます。すると、日和見菌は悪玉菌へと変化。悪玉菌が優勢になることで、腸の働きが鈍り、便秘になったり、おならが臭くなったりするのです。この状況が続けば、もっと深刻な病をも引き起こします。
 では、なぜ腸内環境が乱れていると、肌が荒れてしまうのでしょうか。それは、善玉菌がうまく働くことができないため、美容にも必要なビタミンが作られにくくなり、免疫力も低下するからです。さらに、不要なものを腸内に溜め込んでいることで、
代謝機能も低下します。そのため、ニキビができたり炎症を起こしたりして肌が荒れるのです。 善玉菌と日和見菌と悪玉菌のバランス
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に変化します。善玉菌が優勢なら腸内は健康を維持でき、悪玉菌が優勢になると便秘になったり肌が荒れたりと体調を崩してしまいます。

善玉菌を増やす食材

善玉菌をとり入れて腸内環境を整えよう

 では、腸内環境を整えるためにはどうすれば良いのでしょうか。
 善玉菌を増やすには、乳酸菌やビフィズス菌が含まれた食品を積極的に食べることがおすすめです。それらが含まれる食品の代表がヨーグルト。とはいえ、ビフィズス菌が入っていないものや、きちんと腸まで届かないものもあるため、パッケージをよく確認してみましょう。
 また、乳酸菌は、チーズや納豆、味噌、キムチなどの発酵食品にも多く含まれています。
 さらに乳酸菌を増やすエサともなるものが、オリゴ糖。はちみつや牛乳、大豆、アスパラガス、バナナ、ゴボウなどに多く含まれています。
 そのほか、便秘解消のサポートになるのが食物繊維です。食物繊維は、不要なものを体外へ出すほか、善玉菌を増やす働きもしています。食物繊維を多く含む食材が、豆やきのこ、海藻などです。
 こういった食材を毎日の献立に上手にとり入れ、栄養バランスの整った食生活を実践しましょう。

冷えた体はダイエットにもNG

 次のポイントが冷えです。気温が下がるこれからの季節はとくに注意が必要です。
 冷えは、不規則な生活習慣や運動不足、過度なストレスなどで体温調節の機能がうまく働かなくなっている状態です。
 とくに女性は、熱を生み出す筋肉が男性に比べて少ないこと、貧血や低血圧の場合は血の流れがスムーズでないことも冷えの原因として挙げられます。
 冷えは、ただ単に手先が冷たくなるだけでなく、肩こりや頭痛、不眠、便秘などのほか、肌荒れも招きます。さらに血行不良となれば、肌はくすみがちで、不健康そうに見えてしまいます。
 また、冷えは基礎代謝も低下させます。基礎代謝とは、生命活動を維持するうえで最低限必要なエネルギーのこと。基礎代謝が下がると、脂肪が燃えにくい体になるため、ダイエットをしようと思ってもやせにくくなってしまいます。

上手な食材選びで体をあたためよう

 冷えない体作りにも、やはり食生活を正しく整えることは大きなポイントになります。
 基本的には栄養バランスの整った食事を、毎日規則正しく食べることが大切です。なかでも、これからの季節は体をあたためる食材に注目しましょう。
 代表的な食材が、薬味によく使われるねぎやとうがらし、しょうが、にんにくなど。これらは、血液の流れをサポートする働きがあり、体をあたためる食材として知られています。
 成分としては、筋肉を作るたんぱく質、たんぱく質の吸収を助けるビタミンB群、血管を健康に保つビタミンEなどがおすすめです。
 ちなみに、体を冷やすといわれる食材が、きゅうりやレタス、セロリ、スイカ、レモンなどです。あたためる食材との見分け方は、旬の時期や食材の色。冬が旬の食材、寒い地方でとれる食材、あるいは色が濃く、黒色や赤色、黄色などの食材が体をあたためるもの。すべてに当てはまるわけではありませんが、食材を選ぶヒントにすると良いでしょう。

上手な食材選びで体をあたためよう

 最後に、運動不足や睡眠不足、過度なストレスに悩まされていませんか。これらも、腸内環境の乱れや体の冷えにつながります。
 つまり、腸や冷えにおすすめの食材をとり入れた栄養バランスの整った食生活を送ると同時に、規則正しい生活習慣を送ることもとても重要なのです。
 とはいえ、急に運動を始めたり、ストレスを減らしたりできるものではありません。
 そこで、朝と夜の生活方法を整えることから始めましょう。
 まず、毎朝決まった時間に起き、朝食をきちんと食べましょう。便秘気味の人は、あえてトイレに座る時間を設け、お通じの習慣をつけましょう。運動をする時間をとれない人は、少し早めに家を出て、駅まで遠回り。ちょっとしたウォーキング代わりになります。
 1日の終わりの夕食は、早めに済ますことで、寝るまでに食べたものをきちんと消化することができます。お風呂は、好きな入浴剤を使ってリラックス。お腹のマッサージをすることもおすすめです。就寝前の1~2時間は、部屋の明かりを少し暗くして、好きな音楽を聴いたり、読書をしたりして、ゆったりとした時間を過ごしましょう。
 このように食・生活習慣を整えることで、健康な体へと近づいていきます。その結果、生き生きと美しい自分を手に入れられるはずです。