目の仕組みとそれぞれの働き
私たちの目は、おおまかに下の図のような仕組みになっており、さまざまな器官がそれぞれの役割を果たすことで、きちんとモノが見えるようになっています。たとえば、黒目の部分である角膜は、外の光を目の中へとり入れる働きをしています。涙の層で覆われていることで、潤いを保持したり、外部の刺激から目を守ったりしています。
水晶体はカメラのレンズのような働きをしています。その形を厚くしたり薄くしたりして、ピントを合わせています。そして、水晶体の形を変化させるのが毛様体筋という筋肉です。毛様体筋が水晶体を引っ張ったりゆるめたりしています。
眼球の内側には網膜があります。網膜には、視神経がたくさんあり、光や色を感じて脳に伝えます。
さらに目の奥、網膜の中心には黄斑部があります。黄斑部でしっかりと焦点を合わすことでモノがきちんと見えるようになります。
もちろん、目にはこれら以外にもたくさんの器官が集まって、それぞれがきちんと働くことで、私たちは光を感じたり、色を識別したり、文字を読むことができるのです。
目の仕組み
身近にあるトラブルの原因
では、目に負担をかけている原因にどんなことがあるのでしょうか。
まずは、多くの人の生活必需品ともなったパソコンやスマートフォン。上のグラフを見ても分かる通り、とくにここ数年でのスマートフォンの普及は早く、多くの人が利用するようになりました。これまでパソコンを使用することが少なかった人でもスマートフォンの普及で、その画面を見る人はとても多くなったと考えられます。そして、これらから発するブルーライトが目に悪影響を及ぼすといわれます。しかし、それだけでなくパソコンやスマートフォンとのつき合い方や使い方によっても目に悪影響を与えます。
たとえば、仕事やゲームなどをしているとき、かなりの集中力で画面を見ていることはありませんか。その間は、まばたきをする回数が少なくなっている可能性があります。まばたきが減れば、その分、目の表面は乾燥していきます。
また、長時間画面を見続けることは、焦点を合わせるための目の筋肉が常に緊張状態にあることになります。それも疲れを招く原因となります。
コンタクトレンズの間違った使用も目を傷つける原因。コンタクトレンズは、視力を調整するためだけでなく、ファッションの一部として手軽に利用する人も多くなりました。目に直接触れるものだけに、正しく使用しなければ、目そのものを傷つけることになります。
さらに紫外線も目に負担をかけるひとつの原因。紫外線をたくさん浴びることで、肌が焼けてしまうように、目も同じようにダメージを受けています。
そして、こういったダメージによる目の疲れやトラブルが、肩こりや頭痛といった体の不調につながることもあります。
一方で、年齢を重ねることによってもさまざまな機能が衰えてトラブルが起きてしまいます。
最も多く見られるのが老眼です。老眼は、毛様体筋の力が衰えたり、水晶体の弾力性が失われたりしてピントを合わせづらくなり、モノが読みにくくなります。
この老眼のほかに、水晶体が白く濁って視力が低下する白内障、視神経が圧迫されて視野が狭くなる緑内障、黄斑部の機能が衰えてモノがゆがんで見える加齢黄斑変性といったトラブルも老化とともに起こりやすくなります。
豆知識 ブルーライトとは? ブルーライトは、私たち人間が見ることができる可視光線のひとつで、強いエネルギーを持っています。そのエネルギーは、太陽の日差しがきつい季節に海や山で真っ赤に日焼けする紫外線B波よりも強いのです。そのため、目の奥にある網膜にまで影響を与えるといわれています。
毎日できる目の健康作り
目のトラブルは、放置して悪化すると失明する危険もあります。老化によるトラブルも、「年をとったから仕方がない」とあきらめるのではなく、老化を遅らせることはできるはずです。つまり、老若男女問わず、日ごろから目をいたわる生活を心掛けることが大切なのです。そこで、次のような目にダメージを与える可能性のあるものとは、上手なつき合い方を覚えておきましょう。
◆パソコンやスマートフォン
・1時間程度使用したら、休憩をとって画面から目を離す
・パソコンの画面を見るとき、目線が下向きになるように机やいすの高さを調整する
・画面を見ているときに、意識的にまばたきをする
・室内の乾燥を防ぐ
◆コンタクトレンズ
・コンタクトレンズを利用する場合は、眼科の診察をきちんと受ける
・使用方法を正しく守る
・メイクをする前に装着する
・違和感を感じたときには使用しない
・カラーコンタクトレンズを日常的に使用しない
◆紫外線
・つばの広い帽子や日傘などで紫外線線をカットする
・紫外線カット効果のあるサングラスやメガネを着用する
◆老化
・目を酷使しない
・視力や目的に合わせてメガネを使い分ける
・目の乾燥を防ぐ
・ストレスを上手に発散する
・規則正しい食・生活習慣を心掛ける
目の色素成分とおすすめ栄養素
また、目の健康におすすめの栄養素もチェックしておきましょう。黄斑部には、ルテインやゼアキサンチンという色素成分であるカロテノイドが存在しています。これらは酸化に抗う力が強く、目をしっかりと守ってくれます。しかし、これらは加齢や活性酸素などによって減少してしまいます。
そこで、おすすめの食材としてよく挙げられるのがブルーベリーやビルベリーなどのベリー類です。なぜなら、ルテインのほか、ルテインと一緒に力を発揮するアントシアニンも多く含まれているからです。
そのほか、カロテノイドが多く含まれる食品が、ほうれん草やブロッコリー、かぼちゃ、とうもろこしなどです。カロテノイドは色素成分だけに、緑色や黄色、赤色、だいだい色など色の鮮やかさを目安にして食材を選んでも良いでしょう。
とはいえ、毎日の食生活のなかで、これらの食品から十分な栄養素をとり入れるのはなかなか難しいものです。気になる場合は、サプリメントなどを利用することもおすすめです。
現代人の生活、とくに都会で暮らす人々は、自分が思っている以上に目を酷使しているかもしれません。これからは、自分自身の目に対してもやさしさを持ち、体も目もトータルな健康をめざしましょう。
目の健康におすすめの食材