今年の夏こそ決着を!脂肪を正しく取る方法

夏が近づくと気になる余計なお肉……。けれど、いつもダイエットが間に合わない……。
毎年そう思っている人は、ダイエット方法に無理があるのかもしれません。
正しいダイエットは、体の仕組みを把握して生活&食習慣をきちんと整えることがポイントです。

脂質は五大栄養素なのに脂肪は悪者?

 「脂肪」とか「脂質」とか聞くと、美容や健康にとっては〝悪いもの〟とばかり思ってしまいます。もちろん、必要以上に体内にとり入れれば悪影響を与えます。だからといって、極端にとり入れないでいることも体にいい影響は与えません。
 そこで、健康や美容、ダイエットなどを考える前に、まずは悪者扱いしてしまう脂肪や脂質について正しい知識を身につけておきましょう。
 まず、私たちがバランスの良い食生活の実践を考えるとき、「五大栄養素」という言葉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
 五大栄養素とは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルです。この五大栄養素は、エネルギーを作り出し、成長や発達、生命維持に必要なもの。これらのいずれかが不足すれば、体のどこかで不調があらわれます。
 そして、つい悪者扱いしてしまう脂質も五大栄養素に入っているわけですから、私たちの体に必要な存在であることはいうまでもありません。
 では、脂質は体内でどんな働きをしているのでしょうか。まず、最も大きな働きとして挙げられるのが、体を動かすためのエネルギー源となること。そのため、脂質が足りなくなると、体が疲れやすくなって活動的に動くことができなくなります。そのほか、神経組織や細胞膜、ホルモンなどを作ったり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもしています。

脂肪がたまるメカニズム

 このように大切な働きをしているのに、なぜ脂質や脂肪は悪者とされてしまうのでしょうか。その理由は、日本人の生活の変化による脂質のとり過ぎが原因のひとつと考えられます。
 脂質1日の必要量は、1日に必要なエネルギー量の20~30%とされています。たとえば、1日2000kcalを必要とする成人なら、1日50gほどの脂質が必要です。
 ただし脂質は、摂取量が少ないといわれる野菜や果物などのように、意識してとり入れなくても、1日に必要な量をほぼとることができています。
 それどころか、欧米化した食生活や外食が多い生活を過ごしていると、この脂質をとり過ぎている可能性があるのです。さらに、あまり体を動かすことがなければ、エネルギー源などとして使われなかった脂質が脂肪として体に蓄えられます。これが、太り過ぎや肥満となるのです。
 ちなみに、体の中にたまる脂肪としてよく聞かれるのが皮下脂肪と内臓脂肪です。
 皮下脂肪は、皮膚の下についている脂肪。少しずつたまっていく脂肪で、女性の体につきやすいといわれています。一方、内臓脂肪は、腸や肝臓、腎臓など、内臓につく脂肪です。お腹をつまんだときにつかめるのが皮下脂肪で、外側からは一見分かりにくいことも多いのが内臓脂肪です。
 どちらの脂肪もためすぎはよくありません。皮下脂肪は、一度ついてしまうと落とすことがなかなか難しくなります。内臓脂肪がたまっていくと、高血圧や脂質異常症などさまざまな生活習慣病を引き起こすといわれ、健康に悪影響を与えます。
 ここでダイエットと脂肪の関係についても理解をしておきましょう。よく、短期間でがんばってダイエットをして、一度は体重が落ちたのにすぐにリバウンドしてしまったということを耳にします。
 これは、急激なダイエットで栄養をきちんととれず、エネルギーとして燃やす脂肪が足りなくなるから。脂肪が足りなくなると筋肉を消費し始め、エネルギーを消費する力も下がってしまいます。消費する力が下がれば食べたものが消費されにくく、脂肪として蓄えられ、逆に太りやすくなる、というわけです。
 つまり、正しく脂質をとり入れ、正しく脂肪をつけておくことが、理想的なボディをめざすポイントなのです。

メタボリックシンドローム診断基準ウエスト周囲径
男性85cm以上、女性90cm以上

下記の2項目以上に当てはまる
  □高血糖
  空腹時血糖値 110mg/dl以上
  □血圧高値
  以下のいずれか、または両方
  最高血圧 130mmHg以上
  最低血圧 85mmHg以上
  □脂質異常
  以下のいずれか、または両方
  中性脂肪値 150mg/dl以上
  HDLコレステロール値 40mg/dl未満 

ダイエットは本当に必要?肥満度チェック 

 女性や中年男性の間では、「ダイエットしなきゃ」「やせなくちゃ」という言葉は、まるで合言葉のようになっています。
 けれど、本当にダイエットが必要なのか、あるいはどのくらい太り気味なのか、まずは自分の体を把握することが大切です。
 そこで、メタボリックシンドロームの診断基準、標準体重や肥満度などの求め方を紹介します。自分で計算してみたり、健康診断の結果を見たりして、体の状況をチェックしてみましょう。

標準体重の求め方 身長(m)×身長(m)×22=[   ](kg) 肥満度(BMI)の求め方 体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]=[   ]
BMIやせ普通肥満
判定 18.5未満18.5~2525以上

食事と生活を見直そう正しいダイエットのコツ

 チェックの結果、「やっぱり太り気味……」、あるいは「夏に向けてもう少しだけやせたい」と思うなら、食習慣と生活習慣を見直しましょう。  まずは、1日の摂取カロリーの調整から。1日に必要な摂取カロリーは、性別や年齢、運動量などによって異なりますが、成人で1800~2200kcalくらいが目安です。  しかし、これだけでは毎日どのくらいのカロリーを摂取しているのかよく分かりません。そこで、次ページの表を参考に、どんな献立がどのくらいのカロリーなのかを把握しておきましょう。カロリーが高い食事を好んでいるようなら、野菜や果物を意識してとるように心掛け、外食や間食を控えるようにすると、カロリーを抑えることができるでしょう。
カロリーの目安 ごはん1杯…240kcal
食パン1枚…160kcal
ハンバーグ定食…1040kcal
あじの開き定食…650kcal
チキンカレー…690kcal
とんこつラーメン…660kcal
かけうどん…330kcal
バニラアイス…270kcal
缶コーヒー…65kcal
缶ビール…150kcal


 また、ダイエットをめざすなら食べる順番を変えることもポイントです。普通、ごはんやパン、肉や魚などから食べ始める人が多いと思いますが、これらはエネルギー源になりやすい、つまり、とり過ぎると脂肪になりやすい食材。そのため、まず食物繊維を多く含む野菜から食べることがおすすめです。食物繊維で少しお腹を膨らませることで、その後に食べるものの食べ過ぎを抑えることができるのです。
 ちなみに、ダイエット中に積極的にとり入れると良い栄養素がビタミンやミネラル。これらは、食事をコントロールすると不足しがちな栄養素です。サプリメントなどで補っても良いでしょう。
 次に運動です。趣味でスポーツをしている人以外は、運動することが一番難しい課題かもしれません。しかし、食事をコントロールしながらきちんと体を動かす方が理想的な体型を作ることができます。
 ダイエットのための運動としてよく聞かれるのが有酸素運動と無酸素運動です。
 有酸素運動とは、ジョギングやサイクリングなど比較的軽い運動でできるのもので、体脂肪の燃焼に効果的です。無酸素運動は、比較的激しい運動でできるもので、筋肉を鍛えるのに効果的です。
 ダイエットには有酸素運動が良いともいわれますが、脂肪と筋肉とエネルギーの関係を考えると両方の運動をバランス良く行うことが効果的です。
 有酸素運動は、いつもよりも多めに歩いたり、なるべく階段を使うようにしたりと、日常生活のなかで意識的に行いましょう。そして、休みの日には少し体を動かすような運動を心掛けると良いでしょう。
 健康的なダイエットは、ただ体重が減ればいいわけではありません。必要な栄養とカロリーはきちんととったうえで、脂肪を燃焼してエネルギーを作り出すことが大切です。