動いて“好循環”ホントの健康は足もとから!

長く健康を維持する秘訣として足が健康であることが挙げられます。なぜなら、足に不具合が生じれば、健康維持に大切な運動ができなくなってしまうからです。今回は、いつも当たり前に動かしている足の働きに着目してみましょう。

毎日きちんと歩いてますか? 今日1日の足と体の健康チェック

第二の心臓といわれる理由

 歩く、走る、座る、立つ─。現在、健康な人にとって、足が自由に動くことは当たり前と思っているかもしれませんが、毎日行っているこれらの行動は、足が健康であるからこそできること。そして、足が健康でなければ、健康維持に欠かせない適度な運動を行うことが難しくなります。適度な運動ができなければ、体そのものの健康を維持することも難しくなります。足はそれほど大切な器官といえるのです。そこで、足がどのような働きをしているのかを考えてみましょう。
 まず、立っているときや歩いているとき、足は私たち人間の全体重を支えています。それだけでも、足にはかなりの負担がかかっているような気がしますが、ときに私たちは走ったり、跳んだり、はねたりもします。そのとき、足にはもっと大きな重量がかかっており、それでも体をしっかり支えています。さらに自在に動く体のバランスをたった2本の足で上手に保っています。
 次に、足は「第二の心臓」といわれ、心臓と同じように血液を全身に送り返すポンプのような働きをしています。そもそも血液は、心臓から送り出されて全身を巡ります。足の先まで届けられた血液は、足を動かすことで再び心臓へ向けて送り返されます。この足のポンプがうまく働くことで、血液は全身をスムーズに循環できるのです。
 さらに、加齢とともに気になってくる膝関節部分にも注目したい役割があります。関節の骨と骨の間には軟骨が存在し、この軟骨が正常に存在することで、曲げ伸ばしをスムーズに行っています。
 このように足は、さまざまな役割を持っているのです。

運動不足が招くシンドローム

 では、足が正常に働かず不健康な状態になると、私たちの体にはどのような影響が出るのでしょうか。
 とくに女性に多くみられるトラブルがむくみです。むくみは血液がスムーズに流れていないことが原因のひとつです。足が血液を全身に送り返すポンプのような働きをしているとはいえ、足を動かさなければ、この働きは正常に機能しません。しかも、足は心臓から最も遠い部分にあります。つまり、体全体の血流がスムーズに行われていなければ、新鮮な血液が足まで届きにくいということになります。
 足を動かさない=運動不足は、むくみのほかにもさまざまな悪影響を及ぼします。最近よく聞かれるいくつかの症候群や肥満。これらも、運動不足と大きく関係しています。

 たとえば、ロコモティブシンドローム。運動器症候群ともいい、筋肉や骨、関節などの運動器官が衰え、歩行や日常生活に障害をきたしている状態で、要介護になるリスクが高いといわれています。加齢も原因のひとつですが、やはり運動不足も大きな原因。そして、ロコモティブシンドロームは、動くのが億劫→運動不足→運動器官が衰える→さらに動くのが億劫……という悪循環を招きます。
 また、知る人もすっかり多くなったメタボリックシンドローム。内臓脂肪型肥満により、高血糖や脂質異常、高血圧が引き起こるリスクが高くなる状態で、当然運動不足が影響することは周知の事実です。
 さらに、最近注目され始めたサルコペニア肥満にも注意が必要です。サルコペニア肥満とは、加齢による筋肉の減少が原因で起こる肥満症のことです。筋肉が減少していくことで、その分脂肪を燃焼する力も低下し、気づかないうちに肥満が進行していくのです。肥満は糖尿病や高血圧といった生活習慣病を引き起こすリスクが高くなります。
 このように考えていくと、やはり足を動かして運動できることが、健康を長く維持するために大切なポイントと実感できるでしょう。

健康な足もとをキープする方法

 そこで、足の健康を維持するために、毎日簡単にできるストレッチやマッサージ、運動、そしてスムーズな関節の動きをキープするための栄養素などをご紹介します。

スムーズなふしぶしの動きにおすすめの栄養素と食材

 まず、足の血流を改善するために手軽にできることがマッサージです。マッサージは、健康のためだけでなく美脚ラインを保つためにもおすすめ。お風呂上がりや睡眠前に足のマッサージを習慣づけて、美しく健康的な足をキープしましょう。
 そして、筋肉を低下させないためには、ウォーキングや軽いジョギングなど適度な運動が必要です。ウォーキングをする際には、背筋を伸ばして、まっすぐ前を向き、歩幅を広めにとって早めのスピードで歩いてみましょう。
 運動をする時間をとることが難しければ、通勤途中に階段を上り下りする、車を使わずに歩く、買い物にこまめに出掛けるなどといった、日々足を動かす行動を心掛けましょう。
 ちなみに、足に合わない靴を履き続けることも、もちろん足の健康にはよくありません。女性の場合はヒールの高い靴や足を締め付けるような横幅の細い靴、男性も足になじまないような革靴などを、長時間履くことは避けるようにしましょう。
 また、年齢を重ねると、どうしても関節の調子が気になり、運動からも遠ざかってしまいます。これは、加齢とともに軟骨が少なくなっていくことが理由のひとつです。軟骨は、グルコサミンやコラーゲン、コンドロイチンといった成分で構成されています。こういった成分は、鶏の軟骨やウナギ、山芋、納豆などに多く含まれているため、食生活に積極的にとり入れましょう。
 これからの生活でめざすのは、「足をしっかり使う→運動不足を解消する→健康な足と体をキープする→足をしっかり使う……」という好循環。動き、動ける体作りでいつまでも元気な毎日を過ごしましょう。

足のニオイの秘密 素足で過ごすことが増える季節になると、足裏のトラブルも気になります。そのひとつがニオイ。足裏には汗腺が多く汗を多くかきますが、汗自体にニオイはなく、汗と雑菌が混ざることによりニオイが発生します。そのため、1日の終わりには丁寧に足を洗い、また靴をしっかり乾燥させることが大切です。