美しい笑顔を作るライフスタイルとオーラルケア

笑ったときに見える健康的な口もとは、周囲に与える印象も爽やかになります。しかし、口内にトラブルを抱える人は意外と多くいるようです。そのトラブルが起こる原因に、実はライフスタイルが大きく影響しています。毎日のライフスタイルを見直して、本当に正しいオーラルケアを実践してみませんか。

健康を左右する口内

 口内が健康でなければ、真の健康とはいえません。なぜなら、食べ物をしっかりかむことができなければ十分な栄養をとり入れられなくなり、歯周病などを患っていればそれが体そのものの健康を害することもあるからです。
 しかし、むし歯を経験したことがある人は少なくなく、また成人の約8割もの人が歯周病にかかっているといわれています。つまり、自分では気づかないうちに口内にトラブルを抱えているかもしれないのです。では、なぜむし歯になったり歯周病になったりするのでしょうか。なかには、「毎食後、歯磨きをしているにもかかわらず、トラブルを抱えている」「もともと歯が弱い家系だ」などと思っている人もいるかもしれません。しかし、口内の健康は、日々の食生活や生活習慣と深い関係があるのです。

トラブルの原因となる食生活と生活習慣

 口内にトラブルが起きる原因のひとつに、食生活が挙げられます。最もむし歯菌を増やす原因となる食材が糖です。口内にもともと存在する菌は、糖をエサに増殖していきます。しかも、チョコレートやケーキなど甘いものを食べないからといって安心することはできません。たとえば、スポーツ飲料にはもちろん、お米やパンなどにも糖は含まれているからです。
 ただし、常に甘い飲み物を飲んでいたり、極端に甘いものをとり過ぎなければ、唾液が口内のpHバランスを整えてくれます。というのは、人が食べ物を口に入れると口内は酸性に傾き、酸性の状態が長く続くとむし歯や歯周病のリスクが高まるのですが、健康な人が通常の食生活をしている分には、酸性に傾いた口内を唾液が徐々に中性に戻してくれるのです。
 このように考えると、毎日の食事は歯応えのあるおかずや和食がおすすめとなります。歯応えがある食べ物はかむ回数を増やして唾液の分泌を促し、和食は糖や脂肪分を抑えることができます。
 また、「時間がない」「手軽だ」という理由からファストフードやインスタント食品などの加工食品を常食することにも気をつけましょう。
 次の原因として、乱れた生活習慣が挙げられます。ストレスや睡眠不足などで生活リズムが崩れると、菌に対する抵抗力が低下し、トラブルを招きやすくなると考えられます。とくに喫煙は、歯茎の血管を収縮し、歯茎からの栄養補給が十分に行われなくなるため、口内の環境には悪影響です。
 そのため、どんなに歯磨きをしていても、甘いものをたくさん食べていたり、生活習慣が乱れていたりしては、口内は適切なバランスをとれなくなってしまうのです。口内の健康を保つためには、以上のような食生活や生活習慣を整えることが第一歩です。

“意識”して時間をかけて歯を磨く

 そして、次に大切なことが毎日のオーラルケアを正しく行うことです。
 まず、細菌のかたまりである歯垢がつきやすい場所が図1の通り。この3カ所にきちんとハブラシが届いているか“意識”しながら磨くことがポイントです。また、ハブラシ選びに悩む人も多いことでしょう。選ぶ際の基本的なポイントが図2の通りです。
 オーラルケアは時間をかけてきちんと磨くことができれば、ハブラシだけのケアでも問題ありません。ちなみに、歯磨き粉をつけずに磨くことで、ハブラシがどこにあたっているかを把握しやすくなるため、一度試してみるのも良いでしょう。また、糖をよくとる人はフロスを使って歯と歯の間も念入りにケアしましょう。
 歯の健康は体の健康や美にも大きな影響を与えるもの。そして、その人のライフスタイルが口内の状態を作るともいえます。豊かなライフスタイルを手に入れて、美しい笑顔と真の健康をめざしてみませんか。 Column フッ素入り歯磨き粉の使い方
むし歯予防に有効とされるフッ素入りの歯磨き粉で歯磨きした後のすすぎは、少量の水で1回だけ行うことが正しい方法です。なぜなら何度もすすいでしまっては、フッ素がすべて流れて、その効果を発揮できなくなるからです。