感染症の基礎知識と 新型コロナウイルスの予防対策

世界規模で蔓延し、医療現場や経済にも大打撃を与えている新型コロナウイルス感染症。今回は、ゲートシティ大崎メディカルクリニックの川瀬先生に、感染症の基礎知識や治療薬、ワクチンの仕組み、新型コロナウイルスの予防対策についてうかがいました。


ゲートシティ大崎メディカルクリニック 院長 川瀬 敦之 先生

東邦大学医学部卒業。東京女子医科大学病院第2外科、山梨県立中央病院、成田藤立病院、 大分市医師会立アルメイダ病院などの勤務を経て、1999年ゲートシティ大崎メディカルクリニック開院。

―感染症とはなんですか。

 病原体が体の中に侵入し、増殖することによって病態を引き起こす疾患を総称して「感染症」と呼びます。
 病原体にはウイルス、細菌、真菌(カビ)や寄生虫などがあり、病原体の種類によって発熱、下痢、嘔吐、発疹などさまざまな症状が出ます。感染症のリスクは1年中ありますが、季節によって流行しやすいものもあります。風邪やインフルエンザは冬に多く、子どもに多いプール熱、手足口病、ヘルパンギーナなどは夏に流行します。食中毒では、ノロウイルス急性胃腸炎などウイルス性の感染症は冬に多く、サルモネラ菌などによる細菌性の食中毒は夏に多く発生します。

―新型コロナウイルス感染症について教えてください。

 新型コロナウイルスは、SARS(サーズ)やMERS(マーズ)と同じコロナウイルスの仲間です。それ以外にも、ヒトに感染するコロナウイルスには4種類あることが知られていましたが、今回、中国で見つかったウイルスはこれらにあてはまらないことから「新型」と呼ばれています。
 新型コロナウイルスが恐ろしいのは、未知のウイルスであることに加え、無症状の人が知らぬ間に感染を広めてしまうことです。感染症は病原体の感染力の強さや感染した人の抵抗力によっては無症状や軽度で終わることも多くあります。

―感染症の病原体となるウイルスと細菌は何が違うのですか。

 ウイルスは細菌の50分の1ほどの大きさで非常に小さく、自身では細胞を持っていないためヒトなどの細胞に入り込むことで増殖します。
 一方、細菌は、自身で細胞を持っているので栄養源さえあれば自分で菌を増やすことができます。両者では使う薬も異なりますが、注意してほしいのが、抗生物質の多用です。「風邪には抗生物質が効く」と思っている方がいるかもしれませんが、抗生物質は細菌に対して使うもので、風邪などウイルス性の感染症には効きません。また、抗生物質を多用すると体内に耐性菌が生まれ、肝心なときに効かなくなるというリスクが報告されています。抗生物質と一言でいっても非常に多くの種類がありますから、病状に応じた薬を処方してもらうことが大切です。

―ワクチンはどういう仕組みで感染症を予防するのですか。

 外から侵入する病原体に対抗して体内で作り出す「抗体」を俗に「免疫」といいますが、ワクチンはその仕組みを利用したものです。毒性のない、あるいは弱めた病原体を体内に入れ、抗体を作ることで病気にかかりにくくする予防策です。ただ、自身が実際に感染して克服した「獲得免疫」と比べ、人工的に投与したワクチンは予防の持続期間が短いことが分かっています。インフルエンザワクチンでは、約5カ月で50%の効果が失われるといわれています。

―新型コロナウイルス感染症の予防対策を教えてください。

 手洗いとマスクの着用はぜひ徹底してください。布マスクは、不織布のマスクより目が粗く、ウイルスが侵入しやすいなどといわれますが、大切なのは着け方です。肌にぴったりと密着させてすき間を作らないように着用しましょう。うがい・手洗いは帰宅時だけでなく、食事前にも行うことをおすすめします。殺菌作用のあるうがい薬や薬用石けんでなくても構いません。外からウイルスを持ち込んだかもしれないという意識を働かせて、こまめに、しっかり洗い流すことが肝心です。
 もちろん、予防策を徹底していても感染の可能性はゼロではありません。体調に不安を感じたら一人で抱え込まず、かかりつけ医に相談してください。発熱や咳などの症状がある場合は、電話やインターネットのオンライン相談を利用したうえで受診するといいでしょう。

最新検査機器と専門医による医療でオフィスワーカーの健康を守る JR大崎駅に直結するインテリジェントビル、ゲートシティ大崎のウエストタワーにある「ゲートシティ大崎メディカルクリニック」は、内科、消化器胃腸科、外科、皮膚科など幅広い診療科目を備え、1999年の開院以来、オフィスで働く人々の健康を守ってきました。「ビルの中に一つしかない医療機関ですから、間口を広く構えてどんな悩みにも応えたい」という川瀬先生は、消化器疾患が専門の外科医。仕事中にケガをしたという患者さんの傷の手当てはもちろん、該当する専門医が不在の場合は目や鼻の不調の相談を受けることも。また、病気は早期発見が必要と考え、健康診断や内視鏡など各種検査を行っています。予防、治療、その後のケアまで一貫したサポート体制で、患者さんに大きな安心感を与えてくれるクリニックです。 ゲートシティ大崎メディカルクリニック [診療科目]内科、消化器胃腸科、外科・整形外科、皮膚科、肛門科、乳腺外科
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