子どもの目の健康を守る 近視の予防治療「近視進行抑制」

いまや世界の3人に1人が近視といわれるほど急激に近視の人が増えています。日本でも子どもの視力低下が進み、近視が深刻な社会問題に。そこで今回は、子どもの目の健康を守り、近視の進行を抑える「近視進行抑制」について、むさしこやま眼科の熊谷先生に教えていただきました。


医療法人社団 結和
むさしこやま眼科 院長 熊谷 泰雅 先生

新潟大学医学部医学科卒業。
横須賀共済病院、
追浜駅前眼科勤務などを経て、
2019年、むさしこやま眼科開院。
日本眼科学会認定 眼科専門医。

―近視について教えてください。

 近視の原因は、まだ明確に解明されていない部分も多いのですが、いくつかある近視の種類のうち、子どもに多いのが「眼球の伸び」が原因の近視です。  目から入ってくる映像は、網膜の中心とその周辺で焦点にずれが生じています。そのずれを補正するためにピントをあわせようとするうちに、眼球が後ろに伸びてしまうことがあります。すると網膜より前でピントが合うので、遠くがぼやけてしまうというわけです。正常でも「眼球の伸び」は小学校低学年までに起こります。そこで止まればいいのですが、この時点ですでに近視になっていると、その後の成長期に急激に「眼球の伸び」が進行してしまいます。ですから、その前段階でいかに進行を食い止めるかが重要なカギといえます。

―子どもの近視を予防したり、抑制したりする治療を教えてください。

 最近注目されているのが「オルソケラトロジー」というナイトレンズです。コンタクトの内側が特殊な形をしていて、簡単にいえば、寝ている間に黒目(角膜)が平らになるようクセづけし、コンタクトを外した後、日中の裸眼視力を改善させるという方法です。このほかにも、一部には近視進行抑制効果を持つコンタクトがありますが、日中も装着する必要があるので、学校でコンタクトを落とすなどのトラブルが起きたとき、小さいお子さんでは対処することができません。その点、オルソケラトロジーは夜間、保護者のいる環境で使えることや、昼間は裸眼でも通常の生活ができる視力を出せることがメリットです。  

―コンタクトを嫌がる子どもでも行える治療はありますか。

 「0.01%アトロピン点眼薬」という目薬があります。現在処方できる「1%アトロピン点眼薬」を0.01%に薄めたもので、1日1回、寝る前にさします。アトロピンには近視進行抑制効果が認められている半面、瞳孔を開いたりピントを合わせたりする機能をまひさせる作用があり、1%濃度の目薬では、まぶしい、手元が見えづらいといった副作用があります。0.01%アトロピン点眼薬は作用が穏やかなうえ、夜に使うので、昼間に副作用が出ることはほとんどありません。  手軽に始められる「ロートクリアビジョンジュニアEX®」という飲み薬もおすすめです。カプセル状で飲みやすく、カプセルを内服できるお子さんなら処方可能です。眼科でのみ販売が許可されている薬なので、興味のある方は医師に相談してみてください。
 近視には遺伝的要素も関係しているといわれます。幼いうちから近視予防をするのは早いと思うかもしれませんが、とくに親族や親御さん自身が近視で、将来のお子さんの目について心配されている方は、小学校就学前から眼科を受診して、医師と相談しながら予防を始めるといいでしょう。

―日常生活で気を付けることはありますか。

 近年、太陽光に含まれる「バイオレット光」が近視進行抑制に効果があるという研究結果が報告され、大きな注目を集めています。最近の子どもはスマートフォンやゲーム、読書、学校の宿題まで、近くでものを見たり作業したりすることが増えていますが、長時間の近方作業は近視を進める要因です。室内での遊びだけでなく、太陽のもとで体を動かすなど、屋外での活動時間を確保してあげることも大切です。
 近視が進行すると、網膜剥離、緑内障、網脈絡膜変性など深刻な合併症を引き起こす原因になります。大人の方も、「若いころから近視だから」「見えないのは老眼だから仕方ない」と目の不調を放っておくのは危険。大切な目をしっかり守るためにも、眼科での定期的な検査をおすすめします。

小さな疑問や心配事も即解消。“患者さん目線”がモットーの頼れるお医者さん 武蔵小山駅の目の前に誕生した複合施設「パークシティ武蔵小山ザモール」。その2階にある「むさしこやま眼科」は2019年末にオープンしたばかり。真新しい院内には最新機器が並びます。院長の熊谷泰雅先生が開院に当たって掲げた理念は“患者さん目線に立った居心地のよいクリニック”。「医者には当たり前のことでも、患者さんには分からないことが多い。どんな些細な疑問も解消できるよう丁寧な対応を心掛けています」と言います。それは患者さんが病院を選ぶ際、とても重要なこと。的確な診療はもちろん、気軽に何でも相談できる、まさに居心地のいいクリニックです。 むさしこやま眼科 TEL 03-3788-4639 [診療科目]眼科、小児眼科
[診療時間]月~金曜日 10:00~13:30、15:30~19:00
      土・日・祝日 10:00~13:30、15:00~18:00

東京都品川区小山3-15-1
パークシティ武蔵小山ザモール2-H
最寄り駅 東急電鉄目黒線/武蔵小山駅
URL https://www.musashikoyamaganka.jp