女性ホルモンの変化に〝ゆらぐ〟更年期。つらいときは、クリニックに相談を!

月経周期や妊娠・出産だけでなく、閉経後まで一生を通じて女性の健康に大きくかかわっている「女性ホルモン」。今回は、女性の体にさまざまな変化が生じる「更年期」に着目し、女性ホルモンの働きやその変化、クリニックでの治療についてうかがいました。


ハートクリニック南千住
婦人科 舘岡 佐知 先生

日本医科大学医学部卒業。2004年より同大学付属病院女性診療科・産科勤務。現在、更年期外来担当(非常勤)。2010年よりハートクリニック南千住にて婦人科担当。日本産婦人科学会認定専門医、日本女性医学会認定 女性ヘルスケア専門医

―女性ホルモンの働きについて教えてください。

 女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があり、卵巣から分泌されています。このうち、とくに女性の体調に大きく影響するのがエストロゲンです。エストロゲンは月経や妊娠にかかわるだけでなく、コラーゲンの生成を促して肌の美しさや体のしなやかさの保持、骨粗しょう症や高脂血症の予防、さらには認知症の予防にも役立つといわれています。女性の体を若々しく保ち、疾病を予防してくれるエストロゲンですが、その分泌量は年齢とともに減っていきます。

―エストロゲンの分泌はどのように変化するのですか。

 エストロゲンが分泌し始めるのは思春期で、分泌が増えてくると初潮を迎えます。その後、生殖能力が活発になる性成熟期には一定の高い分泌量が維持されますが、更年期になると減少し、閉経を迎えます。老年期に入ると、エストロゲンの分泌は低い水準になります。

―更年期はいつから始まって、体にはどのような変化が現れるのでしょうか。

 一般に閉経の前後5年間を「更年期」といいます。日本人女性の場合、多くの方が50歳くらいで閉経するので、45~55歳が更年期に当たります。更年期になると卵巣機能の低下とともにエストロゲンが急激に減少します。といっても一直線に下降するわけではなく、増減の波を繰り返しながら減っていくのが特徴。この不規則で急激な〝ゆらぎ〟が自律神経の乱れにつながり、更年期の不快症状を増強させるともいわれています。
 更年期の症状は、よく知られているホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)のほか、手足の冷え、頭痛、肩こり、めまい、睡眠障害、泌尿器系のトラブルなど多種多様。イライラや気分の落ち込みなど精神系の症状を訴える人も少なくありません。
 あまり知られていませんが、更年期症状はがんばり屋で真面目な性格の方に現れやすいともいわれています。それに加え、閉経期は社会的責任が重くなったり、子どもの自立や親の介護など生活環境にも変化が生じる時期。それらのストレス要因も更年期症状の引き金になることが分かっています。

―更年期を乗り切るセルフケアはありますか。

 まずはこれまでの生活を振り返り、自分の心と体の状態を知ること。そのうえで、運動・食事などの生活改善を心掛けましょう。食事で摂取しづらい成分をサプリメントで補うのもひとつの手。女性ホルモンをサポートする大豆由来成分「エクオール」や、骨粗しょう症対策のカルシウム、ビタミンD、ビタミンKをとるのもおすすめです。

―クリニックではどのような治療が受けられますか。

 更年期症状(更年期障害)に最も早く効果が出るのが「ホルモン補充療法(HRT)」です。エストロゲンを含むホルモン剤を投与する方法で、飲み薬のほか、副作用の穏やかな貼り薬・塗り薬・ジェル剤もあります。
 ただし、持病があってホルモン剤が使えなかったり、ホルモン補充療法に抵抗のある方には漢方薬での治療を行うこともあります。ホルモン補充療法でも、子宮のある方・ない方(手術などで子宮を摘出している方)では処方も変わってきます。
 そのほか、うつや睡眠障害などのつらい症状を緩和するために、抗うつ薬や睡眠薬を処方するケースもあります。
 このように、更年期の治療は患者さんの状況によって異なります。症状も人それぞれですから、「誰にも分かってもらえない」と一人で我慢している人も少なくないでしょう。でも、そんなときこそ専門医の出番。「人生100年」といわれる時代、50歳はまだ折り返し地点です。更年期を健やかに乗り越え、人生を生き生きと過ごすためにも、不安や悩みをお持ちの方は、ぜひ婦人科クリニックにご相談ください。

院内にある内科との連携医療で、婦人科以外の体調不良にも対応 南千住駅から徒歩1分の場所にある「ハートクリニック南千住」。婦人科の舘岡佐知先生は、大学病院でも更年期外来(非常勤)を担当するベテラン医。「患者さんの話をよく聞く」という診療方針のもと、患者さんの目を見て話せるよう診察室にはL字型のデスクを採用。患者さんと対面する形で話に耳を傾け、複雑に絡み合う更年期の悩みと向き合います。「患者さんの手や肩に触れたり、脈を診ることもあります。最初はびっくりされる方もいますが、体に触れることで心が開き、話しやすくなることも多いんですよ」とにっこり。地域の方はもちろん、都内各所から大勢の女性が訪れるハートクリニック。人気の理由は、豊かな経験と的確な治療に加え、気さくであたたかな先生のお人柄にもありそうです。 ハートクリニック南千住 [診療科目]内科・循環器内科・婦人科※・皮膚科
[診療時間]月、木 8:30~12:30、15:30~18:30
      (毎月第一木曜日の午後は休診)
      火、金 8:30~12:30、15:30~18:30、18:30~20:00
      土 8:30~13:00
      ※婦人科は、火、金、土の予約制
[休 診 日]水・日・祝日

住所   東京都荒川区南千住7-1-1 アクレスティ南千住医療モール 3F
電話番号 03-5604-0810
最寄駅  JR、常磐線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレス 南千住駅
URL   https://heartclinic-msj.jp/