ストレスからくるお腹の不調、 「過敏性腸症候群」とのつき合い方

「電車に乗ったとたん、お腹が痛くなる」「大事な会議があるのにトイレから出られない」「中座しづらいときに限って便意をもよおす」なんてこと、ありませんか。もしかしたらそれは、「過敏性腸症候群」かもしれません。馬込沢クリニック院長 崔先生に、その原因や正しい対処法についてうかがってきました。


馬込沢クリニック
院長 崔 世浩 先生

昭和60年、千葉大学医学部卒業。千葉大学医学部附属病院、鹿島労災病院、東京都がん検診センター、多摩がん検診センター、国立横浜東病院、千葉労災病院勤務を経て、開院。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本内科学会認定医

―「過敏性腸症候群」とは、どのような症状のことをいうのですか。

 便秘や下痢など、お腹の不調が数カ月以上にわたって続く、消化管の機能障害の疾患です。検査をしても、大腸に潰瘍や炎症などが見られない場合は、過敏性腸症候群である可能性が高いといえます。
 主な症状は、長期間の便秘・下痢・腹痛などで、短時間のうちに何度も便意をもよおす便意頻回、激しい便秘と下痢を繰り返す交替性便通異常、ウサギのふんのようなコロコロした便が出るけいれん性便秘などがあります。いずれも排便をしたら、一時的に症状が楽になるケースがほとんどです。

―原因はなんでしょうか。

 はっきりとした原因はいまだ不明です。しかし、悪化させる主な原因は、日常生活におけるストレスであるといわれています。「学校や会社に行こうとすると便意をもよおす」、「電車に乗ると下痢になる」、「休みの日だけは症状が出ない」など、ストレス状況によって症状が出たり緩和されたりする傾向が高いとされています。
 症状の出方はさまざまですが、便秘の人がストレスを感じると便秘が悪化する傾向があり、下痢や便意頻回の人がストレスを感じると、さらにお腹を下す傾向があります。重症化すると、日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。

―排便の頻度は、何回が健康といえるのでしょうか。

 それは人それぞれです。昔は毎朝出るのが良いといわれていましたが、3日に1回でも、その人が快適に暮らせているのであれば、便秘とはいいません。頻度が変わってお腹に違和感などがあったら、なんらかのサインかもしれませんので、一度受診すると良いかもしれません。

―便秘や下痢は市販薬などで治しがちですが、ほかにも病院にかかった方が良いサインはありますか。

 症状が長く続いたり、血便が出たり、色がいつもと違う便が出たりした場合は、ほかの病気の疑いも含め、受診した方が良いと思います。
 市販薬は効き目が強く、とくに便秘薬は大腸刺激性下剤といって、お腹が痛くなる成分が多く含まれています。また、常用すると効き目に慣れてどんどん強い薬を服用する傾向があるため注意が必要です。ちなみに、漢方薬などは大腸刺激性下剤が多いとされています。一方、病院で診察した場合、患者さん一人ひとりに合わせて処方しますので、安全性は高いといえます。

―予防法、治療法を教えてください。

 まずは生活習慣、主に食習慣の見直しをしてみましょう。毎日決まった時間に決まった量を食べることは、体にとってとても大切なのですが、それができている現代人はほとんどいません。食事の内容も、食材が偏らないように肉、魚、野菜をしっかりとり、炭水化物も大切な栄養素なのできちんととりましょう。納豆、味噌、漬物、ヨーグルトなどの発酵食品は、善玉菌を増やして腸内フローラを整えてくれる強い味方です。塩分のとり過ぎにならないよう、上手にとり入れると良いでしょう。また、水分をしっかりとることもとても大切です。1日1.5ℓを目標にこまめに飲むようにしましょう。水ばかりで飲みにくい場合は、出し汁にすると飲みやすくなります。
 治療法は投薬が主ですが、いまはさまざまな良い薬がたくさんあり、より細かい症状に合わせ、薬の選択ができるようになっています。ストレス性だからと甘く見ず、きちんと医師に相談してください。
 そして、大腸がんなどは自覚症状が出にくいため、健康診断など、定期的に検査をすることをおすすめします。
 現代はストレス社会ですので、ストレスを溜めないのは難しいのですが、趣味を充実させるなどしてうまく発散しましょう。

親しみやすさと包容力にあふれた地域密着型かかりつけクリニック 馬込沢駅から徒歩1分の場所に位置する商業施設Luz船橋にある、地域密着型の内科・消化器科「馬込沢クリニック」。なにより院長の崔先生の気さくでやわらかな口調とやさしい笑顔に、大きな安心感を覚えます。同じ目線で話を聞き、時折笑いを交えながらアドバイスをするそのお話しぶりは、患者様にとってはとても心強いことでしょう。開業して23年間、地域密着型のかかりつけクリニックとして人気を博してきたことにもうなずけます。「お子様からご年配者まで、受診された方とのコミュニケーションを大切にし、当院に来て良かったと思われる診療を心掛けています」とのお言葉通り、広めの待合スペースは老若男女でいっぱいになるのだそう。なんでも相談したくなる、大きな包容力を感じさせるクリニックです。 馬込沢クリニック [診療科目]内科、消化器科
[診療時間]平日 9:00~12:00、15:00~18:00
      土 9:00~12:00
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