普段から脈を測る習慣を。知っておきたい「不整脈」について

健康診断などで「不整脈」と診断されたら、「え!?心臓が悪いの?」と不安になってしまいそうです。しかし、実際は「不整脈」にもいろいろあって、すべてを怖がる必要はないようです。「不整脈っていったいどんなもの?」。その答えを弘中クリニック院長 弘中 学先生にうかがってきました。


弘中クリニック
院長 弘中 学 先生

久留米大学医学部卒業。
東邦大学医学部第2内科、同大学大森病院救命救急センター、聖母訪問会聖ヨゼフ病院などの勤務を経て、弘中クリニック開院。
社団法人玉川医師会理事、世田谷区介護認定審査会委員。

―「不整脈」とはどういう状態のことをいうのですか?

 私たち人間の心臓は1分間に約60~80回、定期的なリズムで収縮しています。この収縮が速くなったり遅くなったり、または不規則になったりして、乱れてしまう状態が「不整脈」です。「不整脈」は、非常に遅くなる「徐脈性不整脈」と反対に非常に速くなる「頻脈性不整脈」の2つに大きく分けられます。これ以外に、一定のリズムから脈が飛んでしまう「期外収縮」がありますが、これはほぼすべての人に起こる症状で、ほとんどが無害であることが多いのです。

―どうして脈は遅くなったり速くなったりするのですか?

 心臓は電気信号で動いており、心臓の上部に洞結節という電気信号を送る器官があります。そこから発せられた電気が、身体に張り巡らされた送電線に順番に伝わって心臓の筋肉を刺激し、ドクン、と心臓を動かす仕組みになっているのです。
 この発電する機関自体が壊れていたり、線が途中で切れていたりして信号がうまく伝わらず脈が遅くなると、「房室ブロック」などの「徐脈性不整脈」が起こります。
 逆に、この信号が頻繁に伝わったり、洞結節以外のところで発生したりすると、「心房細動」などの「頻脈性不整脈」になります。この「心房細動」は、最近、高齢者に増えてきています。放っておくと心房内に血栓という血液のかたまりができやすくなります。それが血液にのって脳や全身の血管で詰まると脳梗塞や血栓塞栓症を引き起こすため、必ず治療が必要となります。

―それぞれどんな治療法があるのでしょうか?

 症状によってさまざまですが、薬の服用と手術での治療があります。
 よく知られているペースメーカーは徐脈性の患者さんにはとても有効です。短時間の手術で、定期的にメンテナンスをすれば、健康な人とほぼ変わらない生活が出来るようになります。
 頻脈性の場合は、カテーテルアブレーションといって、頻脈の原因になっている心臓の筋肉の一部を焼き切ることによって不整脈を起こさないようにする有効な治療法があります。
 また、昨今は優れた新薬がどんどんできているため、処方も楽になり、薬の服用だけで治療できる症状も非常に増えてきています。

―自覚症状はありますか?

 徐脈性・頻脈性どちらも主な自覚症状は動悸です。ドックンと1回の脈が大きく動くようなときは徐脈性不整脈の可能性があります。人間の心臓は1分間で出す血液量を一定に保とうとします。脈が遅くなると1回の脈で多くの血を出そうとするため、大きな心拍となってしまうのです。
 逆に、脈が一定に流れない、バクバクと早くなる場合は心房細動などの頻脈性の疑いが高いでしょう。
 そのほか、強い動悸やめまい、また、発作性の場合は自覚症状がなく突然失神してしまうこともあります。

―普段心掛けることはありますか?

 不整脈は自覚症状が出にくいことも多くあります。早く異常に気付くためにも、ご自身の脈拍の正常値を知っておくことは大切です。そこで、普段からご自身の脈を測る習慣をつけてください。血圧も測っておくとより良いでしょう。
 その際、ポイントがいくつかあります。毎日、同じ時刻、同じ姿勢で測る、心身を落ち着かせた状態で測る、食事、飲酒、喫煙の直後でないときに測るなどです。脈も血圧も時刻や体調、食事、入浴などで大きく変動します。きちんと数値を得るためには毎日同じ状況で測ることが大切です。
 ご自身の正常値を知り、いつもよりおかしいなと感じたら、信用できる循環器内科を受診してください。

「老若男女が通える安心感」と「大病院並みの高度な検査機器」の融合 情緒あふれる世田谷の等々力駅から徒歩1分の場所に位置する弘中クリニック。内科や循環器内科をはじめ、小児科、生活習慣病、アンチエイジングのご相談まで、幅広い悩みに応えてくれます。「大病院並みの高度な検査機器」をそろえており、とくに心臓疾患に関しては、急を要する病変でも対応できる心強い体制を整えています。院内は小さなお子さんからお年寄りまで多くの患者さんでいっぱい。その理由は、高い医療対応だけでなく、ちょっとした違和感や不安にも丁寧に向き合ってくれるという信頼にあります。小さな患者さんを下の名前でやさしく呼ぶ弘中院長先生のお話しぶりは、はきはきと分かりやすく、そしてあたたか。心から大きな安心感を与えてくれるクリニックです。 弘中クリニック TEL 03-5758-3664
[診療科目]内科・小児科・循環器内科
[診療時間]9:00~12:30、15:00~19:00(水・土曜日は9:00~12:30)
[休診日]日曜日、祝日
〒158-0082
東京都世田谷区等々力3-5-2 ヒューリック等々力ビル2階
最寄り駅 東急大井町線「等々力駅」
http://www.hironaka-clinic.com/
※診察予約は24時間対応