検査では診断できない?! クーラー病には漢方が効果的

夏場、クーラーの効いた室内で冷え切った体、そのまま放置していませんか? 今回はリーレクリニック大手町の片山先生に、夏の冷え性「クーラー病」について、自分でできる予防法、有効な治療法などをうかがってきました。慢性化する前に、ぜひ参考にしてみてください。


リーレクリニック大手町
院長 片山 泰輔 先生

信州大学医学部医学科卒業
東京大学公衆衛生学修士
日本内科学会内科認定医
日本腎臓学会腎臓内科専門医



―俗にいう「クーラー病」や「冷房病」と呼ばれるものには、正式な病名があるのですか?

 「冷え」に関して、東洋医学では、血の巡りが悪くなっている状態を指す「於血(おけつ)」や「気滞(きたい)」などといった分類がいくつかありますが、西洋医学では、病気の分類として定まったものはありません。

―「冷え」の主な原因を教えてください。

 多くの要素が考えられますが、一番大きな原因は、自律神経のバランスが崩れてしまうことだといわれています。
 「冷え」は、血の巡りが悪くなっている状態です。自律神経は、この血の巡りに大きくかかわっていて、体を動かしたり直接触れて感じたりする神経とは異なり、内臓や血管を司っています。大きく分けると、興奮しているときに働く交感神経と、リラックスしているときに働く副交感神経があり、この二つのバランスが崩れてしまうことで血の巡りが悪くなり、十分な体温調節ができなくなってしまうのです。

―どうして自律神経のバランスが悪くなるのですか?

 いわゆるクーラー病に関しては、室外と室内での寒暖差が主な原因です。夏場は、外気が31度であったのに、室内に入るといきなり24度になるといった状況がよくあります。クーラー病は5度以上温度差があると発症しやすいといわれています。人間の体は、急激な温度の変化にすぐには対応できないので、自律神経が乱れてしまうのです。

―どのような症状が出るのですか?

 人によって出方は違いますが、頭がしめつけられるような頭痛、吐き気、異常な寒気、慢性的にだるくて疲れやすいなどの症状があります。
 ただ、自律神経のバランスの崩れからくる自覚症状は、血液などの検査をしても異常が見られないことが多いため、更年期障害や精神的なものと判断されることも多いのが現状です。

―予防法と治療法を教えてください。

 まずは、温度差を減らす努力をすることが大切です。エアコンの効いたオフィスなどでは羽織るものやひざ掛けを使用し、就寝時には設定温度を高めにするなどの工夫をしてみてください。そして、生活習慣を見直し、自律神経が乱れる原因を取り除きましょう。たとえば食生活では、冷たい飲み物は体の深部を冷やしてしまうので避け、夏場でも温かいものを飲むようにしましょう。食べ物も、キュウリやスイカなど体を冷やすとされる食材よりも、ショウガやゴボウなど体を温めるものを選ぶことを心掛けてはいかがでしょう。また、適切な運動で心拍数をあげることは、きちんとした自律神経のバランスを取り戻すきっかけになるのでおすすめです。ほかにも、半身浴をする、十分な睡眠をとるなど、自律神経を整える生活を心掛けてみてください。
 治療としては、漢方薬が効果的です。漢方薬は、冷え性のように、西洋薬ではカバーしきれない、診断がつかない症状にとても有効とされています。即効性のある西洋薬に比べて、効果が出るまで時間がかかりますが、体を温めるもの、体内の水分バランスを整えるものなど、症状や体質に合わせて細かく選ぶことができ、ゆるやかに体質自体を改善することができます。
 癖があり飲みにくい印象がありますが、いまは錠剤も多く、昔に比べ、西洋医学と漢方医学は融合してきているため、漢方薬を処方するクリニックも増えてきています。
 先にも述べましたが、冷え性などの自律神経の乱れによる症状は、客観的所見が少ないため、判断しにくい病気です。検査して異常がなくても、症状に合わせて対策を考えてくれる医師に相談し、根気よく治療をすすめていきましょう。


「病気から自由であること」。それが誰にとっても重要 大手町カンファレンスセンタービルB1Fに、2017年3月に開院したばかりの「リーレクリニック大手町」。リーレは、Libertas inaestimabilis res est. (自由はほかの何よりも価値がある)ということわざと「すべての人が病気から自由であるべき」という片山先生の想いとをマッチングして名づけられたそう。「あらゆる方面から、患者さんに本当に合う治療を相談しながら進めていくことが大切」と仰るその話しぶりは、的確でありながら穏やかで、大きな温かさを感じさせます。漢方医学にも明るく、風邪、胃腸炎、花粉症といった日常の体調不良から、高血圧、糖尿病などの慢性疾患まで、多角的で質の高い医療を提供してくれます。

リーレクリニック大手町 TEL 03-5224-6672 [診療科目]内科
[診療時間]9:15~13:30、15:00~18:30
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