頭痛を放置していませんか? 早めの受診が大切です

急におそってくる頭痛、つらいですね。「頭痛持ち」の人は多いですが、我慢したり、市販の痛み止めで治そうとすることが多いのではないでしょうか。でも頭痛をあなどってはいけません。今回は、駒沢公園内科クリニック院長の坂本 剛先生に頭痛についてお話をうかがいました。


駒沢公園内科クリニック
院長 坂本 剛 先生

医学博士
日本神経学会専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本頭痛学会専門医

―頭痛にはいろいろな種類があるのでしょうか。

 頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。一次性頭痛は脳に病気がない頭痛で、二次性頭痛は、脳などの病気によって引き起こされる頭痛です。圧倒的に多いのは一次性頭痛なのですが、頭痛という症状がある場合、まずは二次性頭痛を鑑別することが重要です。きちんと診察を受け、問診や画像検査などを行い、それで問題がなければ一次性頭痛ということになります。

―ほとんどは一次性頭痛ということですが、それは片頭痛ということでしょうか。

 代表的な一次性頭痛には「緊張型頭痛」と「片頭痛」があります。緊張型頭痛は、よく皆さんが〝ちょっと頭が痛い〟というような比較的軽い頭痛です。この痛みの原因の多くが、頭蓋骨の外の筋肉の凝りです。
 一方、片頭痛は、吐き気を伴うかなりつらい頭痛で、動くとつらいため寝込んでしまうことも多く、また光や音、においに過敏になるのも特徴のひとつです。片頭痛という名前から、頭の片側が痛くなると思われていますが、実際には片頭痛の40%は両側性です。日常生活に支障をきたすほどの痛みのため、頭痛外来には片頭痛の方が本当に困って来院するというケースが多くあります。

緊張型頭痛と片頭痛はどのように診断をするのですか。

 緊張型頭痛と片頭痛を見分けるのは、患者さんの話を聞く「問診」です。頭痛の専門医として一番大事なことは、問診でどれだけ聞き取れるか、患者さんのさまざまな訴えのなかから診断に必要な事柄をいかに引き出すかです。
 頭痛だけでなく、神経内科の扱う脳神経疾患の診断では問診が何よりも重要なため、医師になりたての頃から勤務していた大学病院では、問診の方法を徹底的に鍛えられました。MRIで発見できなかった脳の病気が問診で見つかることも多いのです。

―頭痛にはどういう治療法があるのですか。

 治療は大きく2つに分かれていて、ひとつは痛みを抑えるための頓服薬です。多くは鎮痛剤ですが、片頭痛用にはトリプタン系の薬があるので服用を検討します。また、トリプタン系薬剤はいま5種類あるので、その人に合ったものを選んでいきます。
 もうひとつは予防です。緊張型頭痛には頭痛体操が有効です。簡単にできるストレッチ体操で、片頭痛の人にも効く場合がありますので、まずは頭痛体操を行っていただくよう指導します。また頭痛の予防薬もありますので、それを内服し発作を起こりにくくします。

―二次性頭痛は怖いですが、どうやったら分かりますか。

 その頭痛が突然おそってきて〝今まで経験したことのない頭痛〟だったら、すぐに受診したほうがいいでしょう。くも膜下出血や脳出血など、脳の病気の症状として頭痛が出ている場合があり、生命にかかわるケースもあるからです。

―頭痛で市販の薬を飲んでいる人にアドバイスをお願いします。

 ちょっとした頭痛で、市販薬ですぐにおさまるようでしたらいいのですが、鎮痛剤を月に10日から15日以上飲んでいる、そしてそれを3ヵ月以上続けていると薬物乱用頭痛になる可能性が高くなります。頭痛を抑える薬のせいで頭痛が誘発されてしまうという、いわゆる薬の中毒のようなもので、注意が必要です。
 いずれにしても頭痛で悩んでいる方は、我慢したり市販薬を飲み続けたりせずに、早めに「頭痛外来」や「神経内科」または「脳神経外科」を受診してみてください。一般内科では診断できないことも多いですので、できるだけ専門医に診てもらうことをおすすめします。
 自分の頭痛に診断がつけば、お医者さんと相談して治療法を決め、頭痛による日常生活への影響を最小限にしていくことができると思います。

脳神経疾患の診断には何より問診。そのためにもコミュニケーションを大切に。 公園をイメージして設計されたというグリーンを基調にした明るい待合室。開業して4年になる駒沢公園内科クリニック院長の坂本先生は、東京慈恵会医科大学内科・神経内科で約19年間脳神経疾患の診療に携わってきたベテラン。そして副院長である奥様の夏子先生は、虎の門病院で10年間診療の経験を積んだ内科および消化器疾患のスペシャリストです。
身近なクリニックで専門的な治療が受けられること、そして何より患者さんとのコミュニケーションを大切にする先生のお人柄から、患者さんからの信頼も厚く、遠方から来院される方も絶えません。 駒沢公園内科クリニック TEL 03-5779-6603 [診療科目]内科、神経内科、消化器内科
[診療時間]9:00~13:00、15:00~18:30(土曜日は午前のみ)
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